書籍紹介① -ユダヤ人の起源-

今回は、現在自分が読書途中の本を一冊紹介したいと思います。

 

シュロモー・サンド『ユダヤ人の起源 -歴史はどのように創作されたのか-』 (浩気社,2010)

ユダヤ人の起源 歴史はどのように創作されたのか
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 著者のシュロモー・サンドはオーストリア生まれ、イスラエル育ちで、現在テルアビブ大学で教鞭をとっています。今回紹介する著書は、2008年に出版された『何時、どこでユダヤ民族はつくられたのか?』(ヘブライ語)の邦訳です。イスラエルでは、出版された当初大きな反響を呼び、19週に渡るベストセラーを記録したようです。

 

著書についてざっくり言えば、ユダヤ人によるシオニズム批判です。

周知のように、ユダヤ人は長く離散の状態にありました。前回の日記でシオニズムに触れましたが、この動きの始まりは19世紀後半、ヨーロッパやロシア各地で排他的なナショナリズムが生まれ、ユダヤ人が追い詰められたときです。

当初シオニズムは多数のユダヤ教徒から反対されていました。ユダヤ教の教義に反するからです。しかし、ナチズムの経験の後、独立国家をつくることに賛同するユダヤ人は増え、またユダヤ人のジェノサイド(大虐殺)に責任を感じた欧米諸国もそれを支持しました。そこで1948年のイスラエル建国へとつながります。

著者は、ユダヤ人の人種や民族なるものは、そのアプリオリが存在するのではなく、19世紀におけるナショナリズムの中で「発明」されていったと述べています。歴史的起源の観点からみると、ユダヤ人はユダヤ教徒であり、エスニックとは関係ありません。ユダヤ人がローマ帝国、アフリカ、ロシア等に至るまで増えたのは、離散により各地で信者を広めた結果、ユダヤ教の改宗者が増えたからです。シオニズムの前提となるシオンの追放も、そもそも疑わしいのでは、という見解も述べられています。

「民族」の歴史とは何か、ユダヤ人にそういったものが存在するのかしないのか(もし、するとしたらどういう形なのか)、考えさせられます。本書は、ユダヤ人自身からそういったものについて批判的な意見で書かれており、内部から変革していかなければ、イスラエルは今後国際的な孤立を招くだろう、と指摘しています。

 

普段、イスラエルの良いところや、出来るだけ真実に近い情報を発信していくことを念頭において活動しています。それがJISCの活動意義のひとつだと思いますが、一方で、イスラエル・ユダヤに関する様々な見解があることを常に意識し、学んでいく必要があるとも考えています。

 

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