臓器移植法改定による、違法移植封じ込めの効果

今月16日発行のNewsweek日本版にて、「臓器密売大国 イスラエルの改心」という記事を見つけました。

イスラエルでは臓器密売や違法移植が問題とされていましたが、2008年に成立した臓器移植法により、状況が改善されているとのことです。この法律により、国内での移植の条件が厳格に規制され、イスラエル人が臓器を買うことも売ることも違法であると明記されました。また、国外でも、相手国の法律で認められているもののみとなっています。

そもそもなぜイスラエルで違法移植が問題になっているのかというと、イスラエルでは公式ルートで移植用の臓器が手に入りくいことが大きな要因とされています。WHO統計によると(2010年)、イスラエルでの腎臓移植の件数は、100万人あたり20例以下とのこと(国別ランキングでは、全体の中間あたり)。イスラエルが国連の人間開発指数ランキングの上位国であり、高度な医療レベルを誇ることを考えると、この順位はやや低すぎます。

また、臓器提供の意思を示すドナーカード所持者は、成人の12%ほどです。イスラエルでは親族が提供に同意する割合が伝統的に低いと言われています(2010年49%、2011年55%、ちなみにアメリカは約75%)。

この2008年に成立した臓器移植法で、最も革新的な点は、ドナーカード所有者への優遇措置です。つまり、ドナーカード所有者は将来移植が必要になった場合、優先的に移植待機リストに入れてもらえる、ということです。ちなみに、これは2012年1月1日より施行される予定でしたが、申し込みが殺到したため3月31日まで延期されました。

臓器移植法が成立した2008年以後、提供数は上向いているようです。2012年1月1日時点で、腎臓移植を待つ患者は729人で、昨年よりわずかながら減少しました。

また、移植法により、国外での違法な手術の費用を保険会社がカバーすることが禁じられたのも、臓器移植ツーリズムの封じ込めに大きな影響を与えています(それまでは、イスラエルでは保険会社が費用をカバーしていたようです)。

日本でも移植医療は課題になっていますし、このような医療が成功している国(あるいは成功しつつある国)ではどのような政策がとられているのか知ることは重要だと思います。また、臓器移植後のケア(再移植や術後のケアなど)はそれぞれの国でどのように行なわれているのか、個人的に関心を抱きました。

 

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