マナの奇跡

今回は、ユダヤ人にとって一笑に付すことのできない厳粛なエピソードとされる、「マナの奇跡」を紹介しようと思います。これはモーセによる出エジプト放浪時、ユダヤ人の食糧危機を救ったことで有名な話です。

エジプトを脱出し、60万人の人々を率いてきたモーセは、シナイ半島の奥へユダヤ人を導き、人々は苦しい砂漠の旅を続けます。

彼らを襲ったのは食糧難でした。砂漠を数週間もさまよい歩いた人々は、ついに空腹にあえぎ始めます。彼らは「エジプトではパンをお腹一杯食べられたのに」と、かつて奴隷の身分であったこともかえりみず、エジプトでの生活を懐かしみ、口々に不平を述べ立てました。

そこで、神はモーセに食糧を与えることを約束し、再び奇跡を起こすのです。これが、いかなる宝石よりも価値があるとされる「マナの奇跡」です。

「夕方になると、うずらが飛んできて、宿営を覆い、朝には宿営の周りに露が降りた。この降りた露が蒸発すると、見よ、荒れ野の地表を覆って薄くて壊れやすいものが大地の霜のように薄く残っていた」(「出エジプト記」16章13~14)

「地表を覆った薄くて壊れやすいもの」とは、白く甘い味がするマナと呼ばれるもので、タマリスクという木につく虫の出す分泌液だといわれています。

そうして人々は、その日のうちにマナを集められるだけ集め、お腹を満たしたのでした。ちなみに、人々はカナンに到着するまでの40年間、このマナを食べ続けるのです。

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